「光コラボ」とは、「光コラボレーションモデル」とも呼ばれ、日本の光ファイバーインターネット市場における特定のサービスモデルを指します。
このモデルは、元々NTTが提供していた「フレッツ光」というサービスのインフラを利用し、他の事業者が独自のブランド名で光ファイバーインターネットサービスを提供する形態です。
このモデルは、より多くの事業者が市場に参入しやすくなるため、サービスの多様化と競争の促進に寄与します。事業者間の競争を促すために登場したため、基本的にフレッツ光より料金が安いのが特徴です。
ドコモ光やソフトバンク光、楽天ひかり、ソネット光、ビッグローブ光など、テレビCMでもよく目にする光回線のサービスのほとんどが光コラボです。ちなみに、auひかりは後述する独自回線に該当するので、光コラボではありません。
独自回線との違い
光コラボではない光回線事業者のことを一般的に独自回線事業者と呼びます。NTTの回線網を使用している光コラボに対し、独自回線事業者(電力系事業者も含む)はその会社独自の回線網を保有しているのが特徴です。
独自回線は光コラボに比べて、提供エリアが限られるのと、開通工事に時間がかかる(2カ月以上かかることも多い)というデメリットがあります。しかし、回線品質は高い傾向にあるので、速度を重視するなら独自回線事業者もおすすめです。
フレッツ光
「フレッツ光」とは、日本の電気通信事業者であるNTT(日本電信電話株式会社)が提供する光ファイバーを利用した高速インターネット接続サービスです。このサービスは、日本国内で広く普及しており、家庭や企業など多くの場所で利用されています。
フレッツ光の強みはなんと言っても提供エリアの広さです。1ギガサービスのフレッツ光ネクストに関しては、一部の山間部や僻地を除く47都道府県全てでサービスを利用できます。
次世代の高速通信である10ギガに関しては、提供エリア拡大中の段階なので、2023年時点では首都圏と近畿と東海エリアの一部でしか利用できません。
また、月額料金がかなり高く割引も少ないので、競合サービスが数多く存在する現在においては、後述する光コラボに乗り換えた方がお得になるケースがほとんどです。
ダークファイバー
ダークファイバーは、利用されていない光ファイバーのことを指します。現在使用されていない、または余剰の光ファイバーのことです。これらは通信事業者や大企業などによって敷設され、将来的な需要増加に備えて存在しています。
分かりやすく言うと、NTTが使っていない回線を他の通信事業者が代わりに整備して光回線として提供しているサービスのことです。独自技術による回線網のため、回線品質が優れているメリットがある反面、フレッツ光や光コラボよりも提供が狭いデメリットもあります。
ダークファイバーの事業者には、NURO光やauひかりなどが含まれます。
電力会社系
電力会社も光回線を提供している事業者の一つです。多くの電力会社は、電力線の設備と並行して光ファイバー網を展開しており、これにより、電力会社は通信サービスも提供することが可能になります。
既存の電力インフラを利用することで、新たなネットワーク構築に関連するコストを削減できるメリットがある反面、自社の電力インフラがない地域へのエリア拡大は方針にない事業者がほとんどです。
提供エリアが狭い分、回線品質の高さには定評がありますが、インターネット回線と電力サービスをセットで料金を割引するプランを採用している事業者が多く、電力会社をまとめない場合は、光コラボよりもだいぶ料金が高くなってしまう点に注意してください。
光コラボのメリット
フレッツ光よりも料金が安い
光コラボを選ぶ最大のメリットは、フレッツ光よりも大幅に料金が安くなることです。
フレッツ光は、NTT東日本か西日本かで料金も変わりますが、1ギガのフレッツ光ネクストの場合、安いプロバイダを選んでも合計で月額6,000円は軽く超えてきます。
対して光コラボは、戸建てプランの平均で月額5,400円前後、安いところだと4,000円代で維持できるところもあります。マンションプランであれば、3,000円代で維持が可能です。
フレッツ光の提携プロバイダの多くが光コラボ事業者になりました。OCNやSo-netも光コラボをやっているので、現在フレッツ光でこれらのプロバイダを契約をしている方は、光コラボに乗り換えるだけでも、月額料金が確実に安くなります。
また、フレッツ光からの転用であれば、工事不要で光コラボに乗り換えられるのもメリットです。
スマホとのセット割がある
一部の光コラボでは、携帯電話回線とセットで契約することで、携帯料金の割引サービスを受けることができます。代表的なのはソフトバンク光やドコモ光です。
細かい条件はありますが、ソフトバンクならおうち割光セットで1,100円/台、ドコモならドコモセット割で1,100円/台の割引を受けることができます。
キャリアでの回線契約数が多い(つまり家族が多い)ほど割引の恩恵も大きくなるので、基本的にファミリーにおすすめの割引プランです。
auユーザーでも、auスマートバリューという割引プランが存在します。auひかりとのセット割も当然可能ですが、auひかりは自社回線で展開しており、光コラボ事業者ではありません。そのため、auひかりの利用には開通工事が必要です。
ちなみに、auひかりではないですが、ビッグローブ光やソネット光などの一部光コラボ事業者でも、auスマートバリューに申し込むことはできます。
キャッシュバックが貰える
光コラボはキャンペーンが充実しています。高額キャッシュバックのほか、光回線を解約した際に発生する違約金の負担や、入会から6ヶ月月額料金無料などキャンペーンは事業者によって様々です。
注意点として、キャッシュバックを特典につけている事業者を選ぶ際は、必ずそのお金を受け取る方法と時期についても確認しておきましょう。
キャッシュバックの振り込みが1年後だったり、それを申請するのに独自のサービスを使う必要があったりと、受け取るまでが面倒なところもあります。
私自身、過去にNURO光でキャッシュバックを受け取る際、ソネット de 受取サービスというソネットの送金サービスから申請する必要があったのですが、少し面倒だった覚えがあります。
利用者として一番嬉しいのは、電話で振込先情報を伝えてるだけで、あとは開通後翌月か翌々月に入金してくれるところです。
定期契約の縛りがない事業者もある
光回線の業界では未だに2年、3年縛りといった契約期間の縛りが存在します。光コラボは事業者によりけりです。事業者によってはこの縛りが短かったり、そもそも縛り自体を設定してない事業者も存在します。
また、同じ2年縛りでも、2年の継続利用が終わったら、あとはいつ解約しても違約金は取られないプランもあれば、契約満了月に解約しなかった場合、自動的に2年縛りが更新されるプランもあるので注意が必要です。
後者のような更新がエンドレスに続くのを「自動更新型プラン」と言います。
ただ、縛りを設定するからこそ、安定的な収益が見込め、質の高いサービスを提供できるといった見方もできるので、必ずしも縛りが悪いとは言い切れません。
とは言え、電気通信事業法の改正で、2022年7月以降の契約は、プランの契約解除料の上限が1カ月の利用料金までと制限もできました。
今から契約する場合は、途中解約しても契約解除料は3~5,000円程度しか取られないので、そこまで縛り期間に神経質になる必要もないかとは思います。
エリア制限がなく全国で利用できる
全ての光コラボがフレッツ光と同じ回線を使っているので、提供エリアも広く、全国の都道府県で利用することができます。
独自回線事業者だと提供エリアが限られるので、引っ越し先が利用しているサービスの提供エリア外だった時など、解約を余儀なくされる場合があります。
光コラボであれば、山間部にでも引っ越さない限りは、どこに引っ越しても同じサービスを引き続き利用することが可能です。
フレッツ光クロスの10ギガも利用可能
光回線には、そのサービスの理論値上の最大速度を表す単位としてG(Gbps=ギガビットパーセカンド)があります。
多くのサービスで使用されている標準とも言えるのが1Gですが、通信業界は日進月歩で進化しており、光回線も一部のサービスでは下り最大10G(単純に10倍高速)に対応しています。
光コラボも例外ではありません。多くの事業者がNTTの10G(中身はフレッツ光クロス)に対応しています。
しかし、10Gには提供エリアがかなり狭かったり、1Gと比較して料金も高くなるなどデメリットもあるので、利用できなくても悲観する必要はありません。
1Gと10Gって、数字だけ見るとものすごい性能差を感じると思いますが、実際に使ってみるとその差を実感できるのはスピードテストの時だけです。あくまで私個人の感想ですが、体感速度で1Gとの差を感じることはなかったですね。
工事不要で乗り換えができる
光コラボの回線網は、フレッツ光と全く同じなので、NTTのフレッツ光ネクスト(NTTの1ギガプラン)を契約中の場合、「転用」で申し込めば、工事不要で乗り換えが完了します。
光コラボ同士の切り替えも同じです。「事業者変更」という区分で申し込むことで、工事不要で簡単に光回線を乗り換えることができます。
申し込む時期によっても変動しますが、基本的にはどちらも申し込みから開通まで10日程度あれば切り替えが完了するので、急ぎだったり、開通工事を行うのが面倒な方は、光コラボに乗り換えるのがおすすめです。
光コラボの乗り換え手続きに必要な「転用」と「事業者変更」については、以下の記事で解説しています。
光コラボのデメリット
速度が遅くなる場合がある
光コラボは数百社存在するので、フレッツ光よりも回線速度が良いプロバイダがあれば、逆に悪いプロバイダも出てきます。光回線で重要なのは回線速度です。
常時安定していて夜間の混雑しやすい時間帯でも途切れない品質。
光コラボはNTTの回線を使っているので、そんな酷いことにはならないだろうと思われがちですが、口コミサイトやSNSでは、期待していた速度が出なかったり、フレッツ光の時よりも速度が落ちたという声も少なくありません。
しかし、光コラボは既に500以上あり、その数もさらに増え続けています。これだけの数があれば、質の高い事業者以上に、悪い事業者が出てくるのも当然です。重要なのは、質の悪い光コラボ事業者に引っかからないように、プロバイダ選びをしっかりと行うことです。
また、通信というサービスの性質上、エリアや建物の環境によっても速度は左右されます。口コミでの実測値が高いサービスだからと言って、同じ結果が得られるとは限りません。
プロバイダを自由に選べない
フレッツ光では、回線事業者とは別にプロバイダも選択する必要がありましたが、光コラボはプロバイダと回線が一本化されたサービスなので、基本的にはプロバイダを個別に選択することはできません。
しかし、一部例外もあって、例えばドコモ光は、自社プロバイダ(OCNインターネット)ではない他社のプロバイダを選択することも可能です。
ドコモ光に乗り換えたけど、回線速度に満足できなかった場合など、回線事業者を乗り換えなくても、プロバイダだけ変更すれば改善されることもあるので、プロバイダを選べるメリットも少なかれあります。
電話勧誘のトラブルが多い
現在、ADSLのサービス終了に伴い、ADSL利用者を対象に光回線への切り替えをを促す営業電話が増えています。光コラボに限らず、光回線は電話勧誘が多い業界です。
電話では好条件を提示してくると思いますが、基本的に電話勧誘で光回線の契約をすることはおすすめしません。
あの時電話で言った言わないのトラブルに発展しやすいからです。特にIP電話(ひかり電話)を利用している人は、既に光回線を契約している可能性が高いとみなされます。
うっかり電話に出てしまうと、「フレッツ光より安くなりますよ」と話を進められ、そのまま光コラボに勧誘される可能性があるので注意しましょう。